米国株への支援材料で一旦は下げ渋るか
大幅安で始まった2019年の株式市場だが、市場重視のFRB議長の発言に助かった。10月以降の株安の要因の一つに、FRBに株安阻止を期待するのは筋違い、こう言う従来からのスタンスが見えたため市場が動揺した。
前回議長の発言は、「米国経済は力強く、2019年も2回の利上げが正当化される」とし、「バランスシートの圧縮は順調で、見直すつもりはない」とした。市場が政策面でのテコ入れは無理と失望したのが株安要因の一つとされた。
NYダウ
しかし今回の会見では、「金融政策はリスク管理が求められる」とし、「利上げ路線を素早く、かつ柔軟に見直す用意がある」と述べた。また資産圧縮についても「問題が発生すれば、バランスシートの正常化も含めて修正をためらわない」とも発言した。
金融政策だけでなく資産縮小を修正する可能性にも踏み込んだこの発言に市場は安心したという。
取りあえず株式市場にある懸念のうち、「米国の利上げ」についてはFRBが市場に配慮する姿勢を鮮明にしたことで一安心。残る米中貿易戦争では具体的な進展は見られず様子見。
米国株は目先の下値は堅くなったと思うが、上値も重そうでレンジ推移・もみ合いになりそうだ。
円ドル
問題は日本株だ。
10月からの下げには米国株安があると思うが、国内政策の手詰まりもあると思う。円高になった場合に有効な金融政策が使えないからだ。
国内金利が0%前後に張り付き利下げ余地が無く、マイナス金利の深堀りなどは国内金融機関への収益的なマイナス面が強く導入しにくい。加えて円安誘導を否定するトランプ政権の逆鱗に触れる可能性のある政策でもあり、採用は難しいと思う。
くしくも年末年始、日本市場が休みの間隙を縫い、円ドルは急激な円高に振れた。海外で一時104円台を記録し国内市場でも108円前後で推移中。日銀短観の下期の収益前提が1ドル109.26円、時価の1ドル108円台は上方修正より下方修正にバイアスがかかる水準だ。
10/2に高値を付けた日経平均だが、当時のPERが13.95倍で一株益が1740円だった。その後は中間決算などで収益が上方修正され、一株益は1790円まで伸びたが11月のPERは12.5倍がレンジの上限だった。そして11月の円ドル平均が約113円。
これに対して現状の円ドルは108円台と11月の平均値から5円の円高だ。中間決算で一株益は増加したがPERは10月高値時の14倍弱から、11月はレンジ上限が12.5倍へと低下した。利益が伸びてもPERの上限は上方向には伸びず、下方向への動きとなった。
仮に11月のPERのレンジ上限12.5倍が日経平均の上値目安なら22000円辺りが計算値となる。だが円高がジワリと進むなら下方修正のリスクから戻りの目安は割り引く必要が出てくるかも知れない。
目先は米国株の落ち着きで日本株も戻り方向の動きも出ようが、米中貿易戦争の行方と円高、これが解決方向にならないと、日本株は上下しつつもトレンドは下方向、こう言う可能性もあるため、投資資金を絞って市場に参加すべきだろう(投資資金1000万円なら200~300万円に減らすなど)。
今年も宜しくお願い致します。