これほど弱い地合いも珍しい
株価を分析するには色々な手法があるが、「材料に対する反応で強弱を計る」と言う方法がある。今ならタイムリーな業績発表、これを参考にしてみた。
2/4引け後に発表した6941山一電機。第3四半期までの業績は好調との発表だ。
以下、決算短信から「当社グループの関連する電子部品業界では、スマートフォンや携帯機器の高機能化とデータセンタの能力増強に伴う各種半導体や電子部品、走行安全・自動運転等自動車のさらなる高機能化に向けた車載用半導体や各種電子部品の需要が拡大しました」。
そして具体的な数字では、第3四半期の前年同期比は、売り上げ50.8%増、営業益4.3倍、経常益4.4倍、最終利益5.9倍、通期予想(経常益)を57億円→77億円に上方修正。配当も63円→80円に増配。PER8倍、配当利回り3.8%、など割高感はない。
株価の反応は、好決算を評価し週明け7日は買い気配で始まるが陰線引け。翌8日は好決算発表前の株価2085円を割り込むなど、好材料織り込み済みと言う反応だ。
割安感から切り返せばよいのだが、このままダラダラとじり安なら東京市場の地合いは相当に悪いと言わざるを得ない。これだけの業績株でも買えないのだから。
6941山一電機
同じケースでは6315TOWAもそうだ。2/7引け後に第3四半期までの決算を発表。
以下、決算短信から「当第3四半期連結累計期間の当社グループの業績は、パワー半導体向けなどを中心に顧客の投資意欲が高水準で続いたことから、受注高が537億28百万円と、過去最高であった前年通期(2021年3月
期)の409億27百万円を第3四半期時点で大きく上回るなど堅調に推移し、現在も力強い受注環境が続いております。
新型コロナウイルス感染症による経営成績への影響につきましては、変異株の感染拡大により経済活動を制限している地域はあるものの、当社生産拠点への影響は無く、現時点におきましては当社事業への影響は軽微です。
当第3四半期連結累計期間の経営成績は次のとおりであります。
受注高537億28百万円(前年同期比264億42百万円、96.9%増)
売上高382億91百万円(前年同期比175億75百万円、84.8%増)
営業利益90億51百万円(前年同期比67億24百万円増、3.9倍)
経常利益90億87百万円(前年同期比66億59百万円増、3.7倍)
親会社株主に帰属する四半期純利益66億16百万円(前年同期比48億44百万円増、3.7倍)
通期の上方修正は見送られたが、第3四半期の前年同期比は、売り上げ77.9%増、営業益2.7倍、経常益2.8倍、最終利益2.8倍、PER7倍台など割高感はない。
株価の反応は厳しく、上方修正が見送られたことでか朝から売り気配でスタート。好業績+割安だけでは株価は売られる展開だ。
個人投資家好みの小型+成長株+割安株。これが全く冴えないのが今の東京市場だ。
6315TOWA
それでも日経平均が27000円台を維持できているのは、高配当の大型株が堅調だからだ。
9101郵船、8053住友商事、6178日本郵政、8316三井住友、7182ゆうちょ銀行など。
3月期末に向けて配当取りと言う季節要因もあろうが、好業績割安株がどのタイミングで買われるのか。それとも見送られ続けるのか。暫く確認が怠れない。
そしてこの変化が無ければ、小型株好きの投資家には厳しい季節が続くことを覚悟しなければならないだろう。