高岡隆一の株達の極意 伝授します! 2018年11月12日

油断ならぬ東京市場

10月の勉強会では、米国株(ラッセル2000・株達818)の週足テクニカル。さらにはVIXの動きと日本株のプットオプションなどから下げ止まり接近、こう言う内容でした。
  通常なら1ヶ月程度の戻りが期待されますが、そこまで欲をはれるか心配ですね。

  米国株の反転など心強い材料はあります。しかし10月以降の株安の原因は、(1)米中貿易問題、(2)米国金利上昇のスピード、(3)米国中間選挙、(4)米国とアラブ諸国との外交問題。こう言う点が絡み合った調整とすれば、解決したのは(3)米国中間選挙だけです。全てが解決しなければ株は上がらないとは言いません。時間をかけて市場が材料を織り込む動きが常に見られるからです。

  しかし今回の中間決算発表(日本)で感じたのは、業績上方修正でも上がらない株が結構ある。特に高値圏の銘柄にその傾向が強く表れていると感じます。

参考チャート

  例えばSECカーボ <5304>。鉄鋼を生産する電炉で多く使われる黒鉛電極が主。今期は中国を中心に公害問題が多発する高炉から電炉への転換を各国政府が推し進め、黒鉛電極の需要が急増。11/6引け後に今期(19年3月期)連結経常益を84億→155億円に大幅上方修正と発表。18年3月期の13倍の経常利益の水準で業績は爆発中です。

  株価は翌11/7は買い気配で始まるが寄り後は利食いが急増、値動きは高値20890円→安値17580円、終値120円安の18710円引けと高値安値で3000円以上の値動き。この時点でのPERは7倍、売上高経常利益率は42%。製造業では異常なぐらい高い利益率で低PER。それでも引けは120円安。翌11/8は1520円安、さらに翌11/9も200円安となり、PERは6.5倍まで低下中である。同業の昭電工 <4004>やカーボン<5302>も決算発表後は売られている。業績好調にもかかわらずである。

  増益基調で低PERでも株価が上昇しない局面は、(1)相場の底値圏、か、(2)業績は今がピーク、このどちらかだ。
  (1)なら問題はないのだが(2)の場合だと、低PERなど業績面だけで銘柄を買ってもヤラレル。なぜならこれから景気は悪くなり企業業績も減益方向に変化する。これを相場が織り込み始めているため、業績好調+低PERでも株が上がらなくなる局面があるのだ。
  もしもこの様な好業績+低PERでも株価が冴えない業種が他にもある場合、より警戒が必要になる。

ファナック<6954>
参考チャート

  ただし悩ましいのはファナック<6954>の動きである。10/29の引け後に中間決算を発表、下方修正だった。翌10/30は売り気配でスタートしたが、一部で業績底打ち感を感じる業績会見だった、こう言う見方からか朝の売り一巡後は買いが優勢となり、下方修正でも10/30は605円高、翌10/31も1215円高となり、日経平均も10/30が308円高、10/31も463円高と東京市場の株高の要因の一つになったとされる。業績底打ち感のある主力株があるという安心感だという。

  SECカーボ <5304>などの黒鉛電極関連とファナック<6954>の動きは対照的で、前者の動きに従うなら東京市場は調整と言う認識。後者なら押し目買いの好機となる。
  市場関係者の多くがまだ強気が多いと思うが、今年の高値から半値という銘柄がゴロゴロしている半導体や電子部品、さらに設備投資関連株、果たしてこれら業種がSECカーボ<5304>に付くのか、ファナック <6954>に付くのか・・・
  年末そして来年前半相場のヒントになるように思うのだが。

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