高岡隆一の株達の極意 伝授します! 2023年02月06日

他力本願相場 欲に悩む週に

注目の米国インフレ指標は期待通り鈍化が確認され、世界の金融市場は買い方優勢だ。イギリスFT100は史上最高値と驚く。EU離脱による経済損失は甚大とか、燃料費などの物価上昇率は2ケタの急騰とか、首相がころころ変わる政治の不安定化とか、ウクライナに近いカントリーリスクとか、条件は日本よりも悪く見えるが世界の投資家はそうは見ていないのだろう。株が新高値を更新しているのだから。

そうなると日本も・・・、と期待が高まるが買いのエンジンがなかなか温まらない。

例えば業績。

3月期決算企業の第3四半期決算の発表が続いているが、年始の一株益が2141円(225ベース)で2/3までの結果は2152円。日経平均株価が1/4安値25661円→2/6の9時過ぎで27700円。2000円以上も値上がりしているが、これは業績期待(一株益はほとんど増えていない)と言うよりも、外部環境の好転を株が好感したためと言える。

つまり日本の材料と言うよりも、外部環境によるものと考えると、米国株の動きに注目せざるを得なくなる。

その米国株だが、米国長期金利の上昇が止まりナスダックは底打ち反転、これがまだ続くかがカギとなる。

米国債10年日足
米国債10年日足

ナスダック週足
ナスダック週足

その米国10年債だが、昨年10月の4.2%台から3.5%割れまで低下が続いている。ただこのところ3.5%を割ると下げ渋り、大きな低下トレンドが一旦止まった感じにも見える。

来週2/14が米国1月CPI、2/16が米国1月PPIと注目のインフレ指標が続く。最近のトレンド通りインフレ鈍化を示すのか、低下鈍化を示すのか。

低下傾向なら米国金利低下→ナスダック高。低下鈍化なら米国長期金利上昇→ナスダック調整。こういう展開も考えられる。

週足テクニカルの過熱圏入りにはまだ余裕のあるナスダック株だが、金利上昇=調整の場合、どの程度かがポイントになる。

26・52週RCIはボトム圏から上昇したばかりで、調整しても13・26週線辺りでの短期調整が考えられるが、米国長期金利が4%接近などと言う上昇を演じるなら、ナスダックの調整も深くなる可能性が高まる。(先週の米国雇用統計ではないが、市場予想を上回る経済の強さを示す場合も否定できず)

結局、独自材料が乏しい株は常に全体相場の影響を受ける。日本株はその常連とも言えよう。

日本株の週足テクニカルはまだ上昇余地を残しているが外部環境の変化を無視するだけの力もない。来週は注目の米国インフレ指標の発表があり、相場の分岐点にもなる大事な指標。発表前に一旦現金化して内容確認してからもう一度参加し直すか、ポジションはそのままに一か八かにかけるか、投資家の欲深さに悩む週となりそうだ。

ただ力を入れて買いに賭けるとしても、一株益の推移をみると日経平均の上値は欲張れない感じがするが、果たしてどうなるだろう。

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