高岡隆一の株達の極意 伝授します! 2023年04月10日

上値は重そう

3月初旬までは、「いい感じで上昇していた」日本株だが、米国での中規模銀行の破綻、クレディスイス銀行の救済など、世界的な金融不安から日本株も調整に。

その後は素早い対応と「異例の措置」で、3/16安値26632円から切り返し一時は28000円回復まで伸びた日本株。いい材料もなくはないのだが悪材料も多く両者の綱引きは続きそうで、すぐに上下のトレンドを形成するのは難しいか。

チャート・テクニカル面では月足、

6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月線などは27000円前後に集結。これら期間の投資コストが同じ(移動平均線の水準が近い)と言うことは、相場が上なら儲け、下なら損、と言うように一方方向に傾きやすく、トレンドも出やすい形状だ。ただしこの一年はこの平均線を挟みもみ合い中。

日経平均日足
日経平均日足

週足では、
9・12週RCIは軽い調整含みの形状。この先、株の反転があれば29000円トライもあり得るが、テクニカルの調整が継続なら株価も下値確認時期となる。

「上」も「下」も有りと言う形状だ。

日経平均週足
日経平均週足

日足。
9日・12日RCIは、4月初にピークまで上昇し短期過熱圏となり、4/4高値28287円→4/6・27472円まで調整。12日・26日・52日RCIすべての位置が中途半端で、トレンドが出にくい感じである。

日経平均日足
日経平均日足

整理すると、月足は上下の離れ待ち。週足は、上もあり、下もあり。日足は、水準が半端で大きなトレンドが出にくそう。

ではテクニカルの支援が少ないなら、投資環境はどうだろうか。

米国市場では、つい最近までは、弱い経済指標=金利低下は株買い材料だった。しかし直近では、弱い経済指標は米国景気後退を示し株安材料に、と真逆の解釈だ。

この様な変化は日本株にも大きく影響している。

米国長期金利の低下は円高要因で、業績下方修正要因でもある。加えてOPECプラスの追加減産で原油価格が上昇気味。これはコスト増要因だ。しかも3月初まで買われていた銀行株。高配当+低PBRを材料に買われていたが米銀破綻ショックから売り対象となり短期急落。これも日本株には逆風だ。

加えて、米国による対中半導体製品の輸出厳格化で、底入れ反転中の半導体株も上昇一服。これも日本株にはマイナス材料。

しかもウクライナ戦争の長期化で一次産品の下落も終わりとなれば、コスト高が続き業績面での不安が解消されない状態が続くことになる。

当然だが、米国のインフレ低下もスピードが鈍り、金融引き締めの長期化も考えられ、市場が期待する「利下げ」はまだまだ先になるかもしれない。

この様な環境下で、日本株がどんどんと上がるには無理があると考えられよう。

事実、日本株の一株益(225採用)は、1月初2141円、2月初2146円、3月初2106円、4月初2083円。一株益はジリジリ減少、日本企業の業績は落ちている。

そして4月下旬から24年3月期予想がスタート。

多くの経営者は上記要因などもあり先行き慎重を予想し、一株益が増えるような楽観予想は出さないと思うので、業績拡大→株高、と言うありきたりの局面はまだやってこないと思う。

日本株に唯一の買い材料があるとすれば、PBR1倍割れ企業の頑張りだ。

東証が音頭を取って安すぎる日本株の是正に乗り出した。上場企業の半数以上が解散価値を下回り、株主に対して上場の意味がない。この状態を放置しないというスタンスは評価できるし、プライム上場企業がPBR1倍を回復できれば、時価総額は850兆円ほどになるという試算もある。今よりも20%増えることになり、日経平均33000円前後も夢ではないと試算できる。

はたして上場企業がどれだけ自社の株価に敏感なのかは分からないので、東証の呼びかけも「絵に描いた餅」になるかもしれない。3年・5年以内にPBR1倍を下回るなら上場廃止とか、「厳しい義務」なら実現も可能だろうが・・・・。

テクニカルも業績も大きな上昇を描くには力不足。期待は決算発表時に発表される中期経営計画。ここで当面の株主還元率(配当など)を50%~100%と言う企業が続出したり、PBR1倍回復の具体策が多数発表なら、こういう株の物色の流れが日本株を持ち上げてくれるかもしれない。

シチズン(7762)、岡三証券(8609)、にどれだけ追随する企業が出てくるだろうか・・・

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