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例のない急調整
NYダウは1/26高値26616ドルから直近23360ドルまで12.2%調整し、26週線や下値抵抗線に抵触した。日経平均も6日21078円まで14.2%調整し、26週線と下値抵抗線に抵触した。さすがにここまで下げれば調整も一巡、そろそろ上昇に転じてもおかしくない。
NYダウ週足
日経平均週足
だが、NYダウなど米国株は過熱を無視して9年間上げ続け、三段上げ、五段上げで腰を大きく伸ばして仕上げ局面を迎えていた。そんなタイミングで大きな調整を入れたことは、9年間の上昇基調に終止符を打ち、調整に転じたことを暗示する。好景気、好業績など市場には強気観測が依然根強いものの、チャート的には「陰転」「戻り売り」というものを認識すべきだろう。
また、2月3日にFRB議長が交代したのも転換イメージを抱きやすい。1987年8月就任のグリーンスパンは同年10月にブラックマンデーに遭遇、2006年2月就任のバーナンキは07年2月上海ショック、同6月サブプライムショックに遭遇し、08年のリーマンショックへと波及した。FRB議長が就任すると市場は試練を与えることが珍しくない。2014年に就任したイエレン議長は4年間の任期を波乱なく務めたが、この2月に就任したパウエル議長は早々の試練である。問題なく上昇相場を続けたイエレン時代の分も含めて、パウエル議長の試練は大きくなることが危惧される。
直近のNYダウは日々1000ドル超の乱高下を見せるなど、過去に例のない地合いになっている。過剰流動性を背景に長らく続いた上昇相場の反動がここにきて一挙に出てきたということだ。膨大なマネーが世界を駆け巡り、溢れたマネーがヘッジファンドやETF、AI、高速取引などあらゆる手法で利回りを追い求めてきた。だが、強い雇用統計と長期金利上昇をキッカケに、溢れていたマネーが一転「リスクオフ」に傾き始めた。
米10年債利回り
キッカケは何れにせよ、9年間にわたるマネーバブルが終焉するのであれば、「過去に経験したことのない調整」が待っていてもおかしくない。米国政府関係者から株価下落に対する懸念はまだ聞こえてこない。3月以降の利上げシナリオに変わりはなく、10年債利回りの上昇傾向も続く。だが、欧州や中国(上海)など世界の株価はNYダウに連動するように大きく調整、チャートに明確な亀裂を入れてきた。相場の最大の要因は「需給」であり、同時株高の反動で「同時株安」となれば、好景気、好業績、低PER、日本ウンヌンといった強気理由は通用しなくなる。
上海週足
NYダウ、日経平均とも目先はリバウンド見せる可能性あるものの、NYダウであれば半値戻しの25000ドル、上から降りてくる25日線などをクリアーしなければ好転の兆しも出てこない。過去に例のない調整であれば「戻り待ちに戻りなし」となる可能性もあるだろう。そして、相場の流れが変わったからにはスタンスを変更せねばならない。目先のリバウンドを期待して「買い」で勝負することより、持ち株の整理(戻り売り)を優先すべきなのではないか。
世界のマネーの流れが大きなカギを握るこれから、NYダウの動向は一層重要となろう。そして日本株は今も昔も「NY次第」である。
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